一般的に妊娠中はお口の中の環境が悪くなると言われています。
原因として考えられるのは次のような点です。

• ホルモンの変化などの身体的な変化
• 飲食回数の増加、嗜好の変化や偏食
• つわりなどの影響による不十分な歯磨き
• 唾液が虫歯になりやすい酸性に傾くため
• 歯科治療の敬遠

などの悪条件が重なるためです。
その結果、虫歯や歯周病を招くだけでなく、生まれてくる赤ちゃんのお口の中に細菌を感染させてしまう危険性もあります。

妊娠した女性が喫煙したり、多量のお酒を飲んだり、何らかの感染症にかかっていると、早産児や低体重児出産の可能性が高くなるのはご存じでしょうか？　
この胎児の健康を損なわせるリスクの一つとして歯周病も関与することが考えられるようになってきました。
実際に妊娠した女性が歯周病にかかっていると、早産児や低体重児を出産する確率が７．５倍も高くなるという報告がなされています。

虫歯菌の感染ルートはただ一つ。人の口から口へと感染します。中でも母親から乳幼児に感染するケースが多く、生後６ヵ月から３歳位がピークといわれています。
口うつしで食べさせたり、お子さんへのキスを何度もすると唾液に混ざった細菌が感染してしまいます。
しかし、母子のスキンシップはとても大切。　心おきなくお子さんに接するためにも、感染のリスクを低くしましょう。
そのためには、お母さんが持つ細菌の量を減らすことが重要です。

• 虫歯・歯周病の治療をする。
• 細菌のエサとなるお砂糖の量を減らす。
• 歯と詰め物の隙間など、細菌の住み着きやすいところをなくす。
• 歯磨きを丁寧に行う。
• フッ素・キシリトールを取り入れる。
• 歯科医院でクリーニングをしてもらう。

妊娠期には生活習慣の変化やつわりなどにより、歯磨きが不十分になってしまいがちです。
しかし、妊娠中こそ歯やお口のお手入れが重要になってきます。
歯磨きのポイントとして次のような点です。

• つわりのある時は体調の良い時間に。
  歯磨きは食べた後が効果的ですが、辛いときは無理をせずに、比較的楽なときしっかり磨くことが大切です。
• 奥から前にかき出して磨く。
  できるだけ奥に歯ブラシを当てて、奥から前にかき出すよ うに磨きましょう。
• 顔を下に向けて磨く。
  喉に唾がたまった刺激で吐き気がでることを避けるためです。
• 臭いの強い歯磨き剤を大量に使用しない。
  妊娠中は臭いに対して過敏になることがあります。できるだけ香料の強くない物を選びましょう。
• 歯ブラシは小さめの物を選ぶ。
  大きな物を選ぶと、喉に近い粘膜を刺激して吐き気を催すことになります。